少子高齢化は本当に問題なのか? AIの進化から読み解く

少子高齢化、今話題になっていますよね。

ニュースで見るだけでなく、日常の中で、お年寄りの数が増え、逆に子供が減っていることを実感する場面も多いと思います。

ただ、私はこれに対してそれほど悲観する必要はないと考えています。

AI x 少子高齢化

今回はこのテーマで考えを整理してみます。

 

さて、今は第三次AIブームと言われており、空前のAI開発競争が起きています。

AIは、私たちの生活を劇的に変えるだけでなく、人生観そのものをも揺さぶる可能性を秘めています。

「20年後、人類は働くことなく、1日中遊んで暮らし、ほとんどの人が自分中心の生活を送っているかもしれない。」

このように私が言えば、「いやいや、それは有り得ない」と思うかもしれません。

しかし、AIの進化は私たちの人生に大きな影響を与え、「働くのが当たり前」「結婚するのが当たり前」「子供を作るのは当たり前」といったこれまでのステレオタイプの常識を覆すかもしれないのです。

AI はどうなっている?

2022年11月にオープンAIの チャット会話サービス 「chat gpt」 が登場し、 AI との会話は当たり前になりました。

以前からあった アレクサ(Amazon) や Siri(Apple)のロボット的な定型会話と異なり、まるで人間と話しているような極めて自然な会話ができることが特徴です。

さらに、2023年には画像生成AIが普及し、2024年では、驚くほどリアルな動画生成も実現しています。

これは最新のAI動画生成の様子です。

第三次AIブームは世界を変える

AI技術には過去2回ブームが起きており、 今は第三次AIブームの真っ只中と言われています。

出典:AI(人工知能)の歴史について年表を活用しながら時系列で簡単に紹介

以前のAI技術は複雑で、専門家でなければ活用できないものでした。

例として、YouTubeやTiktokのおすすめフィードでは、AIによってユーザごとに異なるコンテンツが提供されていました。

私たちは 気づかないうちに AI の恩恵を受けていましたが、自分から積極的にAIを活用するということはありませんでした。

しかし、今は誰でもAIを使いこなすことができます。

AIを一般人でも使えるように大衆化した点が、過去のブームとは決定的に異なります。

本当にほとんどの仕事がなくなる

AIに仕事が奪われるというのは30年も前から言われてきたことですが、 ここにきて急速に現実味を帯びてきました。

今までのAIは応用力が致命的に足りず、 機械的であったことから、定型的で同じ動作しかできませんでした。

AIがブレークスルーした大きな要因の一つに「応用」があります。

応用が効くのは人間の専売特許でしたが、今ではAIがまるで人間のような柔軟な判断や対応が可能になっています。

まずはデジタルや知的労働の分野から仕事がAIに代替され、 徐々に肉体労働の方も置き換わっていくと予想しています。

参考:「AIに仕事を奪われた絵師」な訳だが

絵を描くことを仕事にしてきた方がAIの登場で仕事を失った経緯が赤裸々にまとめられています。

「Novel AI」が出てきて、「Niji Journey」が出てきて、コミッションサイトに出してるキャラクター立ち絵が全然売れなくなってきて、「こりゃダメだ」と見切りをつけて絵を売るのをやめた。
絵師超優遇特権時代が終わったな、いい夢見させてもらったなあ。

「AIに仕事を奪われた絵師」な訳だが

しかし、これはほんの序章にすぎず、 このような動きが広がっていきます。

私自身もプログラム開発をしていますが、AIを活用することで効率は10倍以上 向上しています。

これまでは公式ドキュメントを何度も参照し、非効率なコードを書いていました。しかし、今はAIに尋ねるだけで、洗練されたコードが一発で生成されます

1時間かかっていた作業が、今ではわずか数分で完了するのです。

単純にソースコードを書くことだけを業務とするプログラマは、上で紹介した絵師様のように仕事を失っていく運命にあるでしょう。

種の繁栄から見る人間

私は、種の繁栄には4つのステージがあると考えています。

第一段階:種を絶やさないために繁殖する状態

人間以外の全ての動植物が該当

人間以外の生物は、遺伝子を次世代に引き継ぐために繁殖行動を行います。これは生命誕生から今日まで続く、いわば「進化のリレー」とも言えるものです。

自然界では、適応能力の高い個体が生き残り、繁栄していく一方で、適応しきれない生物は淘汰される運命にあります。

例えば、キリンは元々首が長かったわけではありませんが、突然変異で生まれた首の長いキリンが高い位置にある葉を食べることができ、生存の可能性を高めました。その結果、首の長い遺伝子が優位になり、長い年月をかけて現在のキリンが形成されました。

この段階に位置する生物は、常に環境との競争に晒されており、過酷な条件下での繁栄を目指しています。

繁殖の意義:より適応力の高い遺伝子を次世代に残し、種の存続を図る

第二段階:種の保存を確立しており、絶滅の可能性が0に近い状態

現在の人類が該当

高度な文明を築き、外敵に捕食されることはなく、 自然的要因で絶滅する可能性が限りなく0に近い状態になっています。

この段階では、種の絶滅リスクは自然界の生物に比べて低く、生存のための競争からも解放されています。そのため、「強い個体を増やす」や「弱い個体を淘汰する」という発想が薄れ、繁殖は労働力としての需要に基づくようになります。

安全な文明を維持するためには強い個体ではなく、労働力が必要です。

繁殖の意義:文明の維持・発展に必要な労働力を確保する

第三段階:科学の発展により繁殖の義務が喪失した状態

AIやロボットの進化により、多くの労働が自動化される段階

働き手としての人間は一部を除いてほとんどなくなるため、 労働力を増やすという社会的な義務を喪失します

最初に知的労働の大部分がAIに代替し、次に実際に手足を動かす肉体労働が徐々に切り替わっていきます。

テスラのCEOであるイーロン・マスク氏は以下のように予想しています。

2040年までに人型ロボットの数が少なくとも100億台に達するだろう。
価格は1台あたり 日本円で300万〜375万だ。(2万ドル〜2.5万ドル

Elon Musk: 10 billion humanoid robots by 2040 at $20K-$25K each

2040年は今から15年後です。

この段階では、繁殖による労働力の確保が必要なくなり、繁殖の意義が「子供を持ちたいという個人的な希望」にシフトしていきます。

繁殖の意義:個人的な選択によるもの(労働力としての義務は失われる)

第四段階:寿命が限りなく永遠になることで、 繁殖の意義を完全に喪失する

さらに先の未来

科学技術の進歩によって人間の寿命が大幅に延びる可能性があります。

人類の寿命を伸ばす研究はいくつも行われていますが、 一部は現実になりつつあります。

書籍 【2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ】 では、寿命を伸ばすための様々な研究が紹介されています。

「永遠の命は手に入るか」という問いの答えはまだ出ていない。
だが100歳の人を再び60歳に戻すこと、すなわち、人間の生存期間を大幅に伸ばすことは、すでに「できるかどうか」から「いつできるか」の問題に移った。

2030年 全てが加速する世界に備えよ 第10章 寿命延長の未来

科学の進歩により、私たちが1年生きる間に寿命が1年延ばせるようになるという「寿命脱出速度」という考え方があります。

デ・グレイやカーツワイルが主張するのが、「寿命脱出速度(LEV)」という考え方だ。もしも「60歳の人に30年の健康余命を与える技術」を確立することができれば、次の30年間に「90歳になった時点でさらに30年の健康余命を与える技術」が開発できるだろう。それを繰り返せば、事実上の「不老不死」が達成できる─。

アンチエイジングのスタートアップ、西海岸で急増 不老不死の時代は近づいたか

この段階に到達すれば、もはや種の存続のための繁殖は不要となり、むしろ人口過剰が食糧や環境への圧力を引き起こすリスクも考えられます

繁殖の意義不要(寿命延長による存在の持続が可能)

このように、種の繁栄という観点から見ると、繁殖の意義は段階的に変化していきます。最終的には、生命や寿命に対する概念そのものが技術的に再定義される未来も考えられるでしょう。

新時代

AIは、人類の抱える多くの課題を解決できる可能性を秘めています。

AIが一般化し、開発競争が激化した今、 AIブームはもう終わりません。

今後も次々と革命的なAIが登場していきます。

 

たとえば、YouTubeやTiktokでは、AIがあなたの視聴履歴を学習し、興味のある動画をおすすめ欄に表示します。

ユーザーひとりひとりに個別化されたAIの世界です。

Tiktokを開いた瞬間、あなたのためだけに作られた最高の空間が広がっているのです。

子供たちが夢中になるのは無理もありませんね…

 

今はデジタルアプリ上だけの話ですが、 近いうちに現実世界そのものが「あなたのためだけに作られたAI空間」となっていくでしょう

理想的な相棒のように振る舞うロボット、あなた専用に生成されるショートムービー、そして好みに合わせて提供される料理など、日常がAIによって変わっていきます。

これは今までの家電の進化のように「ただ便利になる」 とは全然違います。

AI によって限りなく永遠と続く自分専用の世界が構築されるのです。

 

この時代では、他人軸ではなく、自分軸の時間が流れるようになり、 より個を大切にするようになると思われます。

他人に合わせて我慢する必要はないのです。

古い常識が通用しない新時代が、まもなく私たちの前に姿を現します。

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