ショート動画があなたの知能と時間を奪う5つの理由

さて今回も依存性に関する記事です。

私が脳や経済に関する記事を多く執筆しているのは、「脳」と「お金」という人生を構成する2つの重要な要素を攻略するためです。

脳は私たちの行動原理や幸福感に大きな影響を与えます。そして、脳を効率よく活用し安定した幸福を追求するためには、経済的な余裕、つまりお金が必要となるのです。

理想的なイメージは、脳がもたらす内面的な幸せと、経済的な安定が両立している状況です。

そこで脳に悪影響しか与えない「依存」という現象について、 身近な「ショート動画」についての記事です。

ショート動画とは、一般的にTiktok, Instagramリール, Yutube shorts などを指します。

ショート動画は何が危険か

自動化された報酬提供

Tiktokを2時間以上見てしまった時に、「ああ、また無駄な時間を過ごしてしまった😢」って思いませんか?

ショート動画とは、AIによってユーザーに報酬を与える仕組み、つまり脳内のドーパミンを効率的に刺激するために設計されたコンテンツです。

Tiktokは、ユーザーの興味を学習し、次々とユーザーが好む動画を自動的に提供するSNSです。ユーザーは、自分で何を見たいかを考えることなく、ただ流れてくる動画を消費し続けるため、非常に『受動的』な体験を提供します。

同じ動画SNSでも、YouTube(ショーツではない)は、ユーザーが自分で見たい動画を選ぶため『能動的』な体験を提供します。
ユーザーが自分の時間を管理し、意識的に選択を行うという点で、Tiktokとは対照的です。

受動的SNSの危険性

受動的なSNSはAIを活用し、『いかに使用者を釘付けにして時間を奪うか』を目的に巧妙に設計されています。

次々と興味を引く動画が自動的に流れてきて、そのループは終わりがありません。まるで無限のエンターテイメントが目の前に広がっているかのようです。

能動的なSNSでは、自分が見るコンテンツを自ら選択しているため、主導権は自分にあります。
自分がSNSを利用しているという感覚が保たれやすく、『SNSを使いこなしている』という表現がふさわしいです。

対して、受動的なSNSでは、AIが見るコンテンツを選んでいるため、主導権は自分にありません。まさに『Tiktokを見させられている』状態です。

ユーザーは知らぬ間に、知能と時間を代償に、無制限に与えられる報酬に依存し続けてしまうのです。

ドーパミンの自動化は禁忌ということ

ドーパミンは行動を決定する脳内物質だと考えています。

かつて人々がサバンナで狩をしていた時代から脳の構成は変わっていません(スマホ脳)

古代の人々は、広大なサバンナで狩りをしてドーパミンを得ていました。その達成感が生きる力となっていたのです。

一方、現代ではスマホを数回スワイプするだけで簡単にドーパミンが得られます。これは、古代の達成感とは異なり、脳に悪影響を及ぼす危険があります。

ドーパミンの自動化は、脳を怠惰にし、努力なしに報酬を得る依存状態を引き起こします。これは脳にとって非常に危険であり、まさに「禁忌」と言えるでしょう。

Tiktokの脳

ショート動画の弊害に関する研究はいくつか行われていますが、 「Tiktokの脳」というものがあります。

TikTokやInstagram Reelsのような短編コンテンツを夢中になって見る若者は、「即座に満足感を得られない活動に参加するのが難しい」とジュリー・ジャーゴンはウォール・ストリート・ジャーナル紙に記載している

TikTok brain\' may be coming for your kid\'s attention span

現代の若者は、苦労して探索することもなく寝転がって動画を見るだけでドーパミンを得ることができるため、 苦痛を伴う努力や我慢ができません

アンデシュ・ハンセン氏は、クラシック系の楽器を習う生徒が著しく減った理由を音楽教師に尋ねたところ、こんな答えが返ってきたと言います。

今の子供は即座に手に入るごほうびに慣れているから、すぐに上達できないとやめてしまうんです。

スマホ脳 P181

このような低質なドーパミンを日々得続けることで、本来努力が必要な場面で頑張る力を失い、致命的な結末を迎える可能性があります。

現代は娯楽に溢れていますが、動画カテゴリという大枠の中でも、ショート動画のような受動的で自動化されたドーパミンは危険度が非常に高いです。

スマホを使うと知能が低くなる

スマホの使用時間が長いほど悪影響があるのは想像通りですが、実際の研究によっても証明されています。

2017年度に実施された全国の小学5年生から中学3年生、計41,084人を対象とした研究では、国語や数学を含む4科目の成績とスマホの使用時間を比較しています。

下表ではスマホ時間が長いほど偏差値が低下していることが読み取れます。

なお、スマホを持っていない子供よりも、使用時間が1時間未満の子供の方が成績が高い点については、スマホを持っていない家庭が経済的に余裕がないケースがあり、それが学習格差を生んでいる可能性があると指摘されています。

出典:スマホはどこまで脳を壊すか P63

スマホを用いて安易にドーパミンを摂取しているから、勉強のような短期的には苦痛を伴う努力ができなくなっていると予想されます。

ショート動画依存を克服する方法

今すぐスマホからTiktokやインスタグラムをアンインストールし、 筋トレをすることです。

私も半年ほど前まではいわゆるショート動画依存症で、食事中やトイレでも延々と動画を眺めていました。

しかし、アンチスマホをテーマとした書籍からヒントを学び依存症を脱することができました。

運動が与えるポジティブな効果には様々な書籍で指摘されており、私の大好きなスマホ脳から抜粋します。

脳の大部分はサバンナでの日々から変わっていないわけだから、身体を動かすことであなたや私の集中力は高まる。
なんと、散歩、ヨガ、ランニング、筋トレなどあらゆる種類の運動が知能によい効果を与えることがわかっている。

スマホ脳 P208, 216

ドーパミン対策としてスマホ画面を白黒にするというものがありますが、 効果は絶大です。

まとめ

本記事ではショート動画やスマホが時間を奪うだけでなく知能すらも低下させるということを紹介しました。

他にもSNSの使用時間が長くなるほど、他人と自分を比較してしまい、鬱のリスクが高まるという研究結果もあります。

自動化されたドーパミンに飼い慣らされるのはもうやめましょう。

(他人が投稿したものだが)AIが見せてきたコンテンツで、一喜一憂するなんて考えるだけで馬鹿馬鹿しいです。

それによって自尊心が傷ついたり、怒ったり、悲しんだりするのはさらに無駄でしかありません。

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