加藤俊徳(かとう としのり)著
私たち大人の脳は、学生時代の脳に比べて圧倒的に調子が良い。
脳は学生時代よりも良い調子になっているが、勉強法が同じでは意味がない。
学生時代は“暗記”で記憶するが、大人は“理解”することで記憶する。
大人が学生時代と同じように暗記で挑むのは間違い!
以下の勉強法はほとんど意味なし!
- 付箋をつける
- 重要箇所をマーカーする
- 参考書をノートにまとめる
やってる感があるだけで、記憶という面では非効果的だそう。
脳の仕組みは変わる
脳の最盛期は50代
脳は生涯にわたって成長し続ける。
記憶や理解を担う「超側頭野」は30代でピークを迎え、視覚や聴覚から入ってきた情報をもとに分析や理解をする「超頭頂野(ちょうとうちょうや)」は40代でピークに。
実行力や判断力を司る「超前頭野」は50代でピークを迎えます。
ピークを迎えた後も、脳をしっかり働かせることで、脳は成長を続けていきます。
脳は一つではなく、複数の機能が連携している
脳は以下のように複数の役割に分かれている。 本書P48
- 思考系
- 理解系
- 記憶系
- 感情系
- 伝達系
- 運動系
- 視覚系
- 聴覚系
これらの脳は、単体で使うよりも連携させることで効果を発揮する。
感情と伝達を組み合わせることで、記憶の定着が一気にアップすると記されています。
例えば、同じ食事でも普段の夕食はあまり記憶に残らないですが、数年前の旅行先で食べたものは鮮明に思い出せる場合があります。
普段どうでも良い記憶はすぐに忘れてしまいますが、感情が揺れ動いた場面は記憶に残りやすいんです。
失敗したり恥をかいたりした場面を忘れたくてもなかなか忘れられないのもこれが原因です。
大人の勉強法
瞬発的な記憶力で学生脳に劣る大人の脳では、別の勉強法が最適です。
何かを覚えようとする時は「覚えよう」とするのではなく「理解しようとする」ことが重要。
効果的に勉強するには少なくとも3つの脳を組み合わせる。
ただテキストを眺めるだけでは、前項の「視覚系」のみが働いている状態。
声に出して音読をすることで「聴覚系」、実際に文字に書くことで「運動系」、学んだ内容をアウトプットすることで「伝達系」が働く。
このように複数の脳機能をフル活用することで、脳はその事柄を重要だと認識し、効果的に記憶することが可能になります。
繰り返し入ってくる情報は記憶に残りやすい
心理学者による「忘却曲線」という実験結果によると、一時的に記憶したものは1時間後に56%忘れ、1日後には74%を忘れていると示されています。
繰り返し復習することで忘れにくくなります。
おすすめの勉強法は、まとめて勉強するのではなく、1日10分でいいから毎日コツコツ型の勉強法に変えていくことです。
2時間(120分間)の勉強よりも10分間の勉強を12日間続けた方が、脳科学的にはかなり効率のいい勉強法なのです。
デッドラインを決める
脳は時間がたっぷりあるとなまけやすい。
脳が集中できる時間は20分〜50分。
時間を定めてメリハリよく勉強するのが効果的のようです。
所感
脳は学生時代が全盛期で、あとは老化していくのみと思っていたが、大きな勘違いだった。
暗記は学生の得意分野であり、大人は別の角度で攻める必要があるということを学べた。
80代で脳が成長している方のMRI画像や、多数のエビデンスが引用されており、説得力と根拠に富んだ一冊で、脳を洗練させたい方におすすめです。